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2024年版と2025年版のEWCレギュレーションの詳細な変更点

Published at January 29, 2025 11:28 p.m.

1. クラス分けの変更 (1.9.1)

  • 2024年版では、FIM世界選手権はFormula EWCクラス、FIMワールドカップはSUPERSTOCKクラスとされていました。
  • 2025年版では、FIM世界選手権はFormula EWCクラス、FIMワールドカップはSUPERSTOCKクラス、FIMワールドトロフィーはPRODUCTIONクラスというように、PRODUCTIONクラスが新たに追加されました。
  • これに伴い、2025年版では、PRODUCTIONクラスの車両に関する技術的な仕様が追加されました。
  • PRODUCTIONクラスは、SUPERSTOCK 1000またはSUPERSTOCK 1100のホモロゲーションを取得した車両で、公式の公売価格が25,000ユーロ以下の車両が対象となります。
  • 2024年版では、主催者はEXPERIMENTALクラスを許可することができました。2025年版でも同様です。
  • EXPERIMENTALクラスの技術仕様は、技術ディレクターの勧告に従って規則と補足規則に記載される必要があります。これは2025年版でも変わりません。
  • EXPERIMENTALクラスのチームは、出場したレースのclasificaciónに含まれず、ポイント、賞金、配分を受け取らないことも変わりません。

2. チーム構成の変更 (1.10.4)

  • 各バイクは2人または3人のライダーで構成されるチームによって運転されます。これは2024年版も2025年版も同様です。
  • 24時間レースとして登録されている場合、2024年版ではSuperstockクラス、2025年版ではProductionクラスでは各バイクが2人、3人、または4人のライダーで構成されるチームで運転されます。
  • EWCおよびExperimentalクラスでは、12時間以上(または1800km以上)のイベントでは、リザーブライダーが認められますが、2025年版では練習走行のみに限られます。

3. ピットストップに関する変更 (1.17.5)

  • ピットストップを行う際は、エンジンを停止することが義務付けられています。これは両年共通です。
  • エンジンはテストと調整のために短時間始動することができます。
  • すべてのクラスにおいて、給油は機械的な作業が終了し、ライダーがマシンを再始動する前に行われなければなりませんでしたが、2025年版ではProductionクラスにおいては、満タンの燃料タンクの交換が機械的な作業とみなされます。
  • Productionクラスでは、燃料タンクの交換作業は公式計時会社によって監視され、120秒未満で行うことはできません。違反した場合はペナルティが科せられます。
  • 作業エリアは、ピットボックス前の幅3メートルの範囲(2024年版)から、ピットボックス前の幅3メートルまたは補足規則に記載されている範囲(2025年版)に変更されました。

4. ライダーの年齢制限の明記削除 (1.10.6)

  • 2024年版では、ライダーのライセンスは18歳に達した時点で発行されると記載されていましたが、2025年版では明確な年齢制限に関する記述がありません。

5. ライダーの国籍に関する変更 (1.10.2)

  • 複数の国籍を持つライダーは、2024年版では最初のFIMライセンス取得時にどちらの国籍で出場するか選択する必要がありましたが、2025年版ではこの記述が削除されました。

6. エントリー方法の変更 (1.10.3)

  • すべてのエントリーは、2024年版では書面で行われましたが、2025年版では専用のオンラインプラットフォームで行われることになりました。
  • 登録プラットフォームへのリンクとアクセス方法は各イベントの補足規則に記載されます。

7. 安全対策に関する変更 (1.12)

  • 2024年版では、夜間走行を行う場合、各マーシャルポストに固定されたライトシグナルが必要でしたが、2025年版ではこの記述が削除されました。

8. ペナルティに関する変更 (1.20.13)

  • ピットレーンで制限速度を超過した場合、2024年版では練習走行中は150ユーロの罰金、レース中はライドスルーペナルティが科されました。
  • 2025年版では、これに加えてより重い罰金や追加のペナルティが科される可能性が追記されました。

9. 燃料タンクの容量に関する変更 (2.6.6.10, 2.7.6.10, 2.8.6.10)

  • 2024年版では、Formula EWCクラスとSUPERSTOCKクラスの燃料タンク容量は24リットルでした。
  • 2025年版では、Formula EWCとSUPERSTOCKは同じく24リットルですが、PRODUCTIONクラスは16リットルに変更されました。
  • PRODUCTIONクラスでは、最大容量確保のために「ボリュームボール」の使用が認められ、その最小直径は50mm以上である必要があります。

10. ギアボックスのレシオに関する変更 (2.6.6.31)

  • 2024年版では、Formula EWCクラスのギアボックスのレシオは、シーズンごとに最大3セットまでと制限されていました。
  • 2025年版では、この制限がなくなり、すべてのレシオ、シャフト、シフトドラム、セレクターフォークを自由に交換できるようになりました。
  • ただし、プライマリーギア(およびレシオ)は、ホモロゲーションされた状態を維持する必要があります。
  • 2024年版では、各メーカーはシーズン全体で使用するギアボックスのレシオを2セット(高速サーキット用と低速サーキット用)宣言する必要がありましたが、2025年版では、この制限がなくなり、自由にギアボックスのレシオを変更できるようになりました。

11. 電気スターターに関する変更 (2.6.6.34)

  • 2024年版では、電気スターターは正常に作動し、イベント中はいつでもエンジンを始動できる状態でなければならないとされていました。
  • 2025年版では、2026年から変更が認められなくなりました。

12. 燃料に関する変更 (2.6.5, 2.7.5, 2.9.5, 2.10.1)

  • 2024年版では、すべてのチームは、FIM Endurance World Championship/Cupのために契約された、指定された単一の燃料供給業者によって提供された燃料を使用しなければなりませんでした(ル・マンを除く)。
  • 2025年版では、燃料仕様が変更されました。
    • EWCクラスはオクタン価102または98の燃料仕様を使用(チームの独自の裁量で選択可)。
    • SUPERSTOCKクラスとPRODUCTIONクラスはオクタン価98の燃料仕様を使用。
    • EXPERIMENTALクラスはオクタン価102または98の燃料仕様を使用(チームの独自の裁量で選択可)。
  • 2025年版では、EXPERIMENTALクラスにおいて、サステナビリティと再生可能エネルギー/燃料を含む代替エネルギーを使用するプロジェクトに対して、CCR/CTIによって例外が認められる場合があります。
  • ただし、保管、梱包、取り扱いに関するすべての安全対策が講じられ、常に保証されている必要があります。

13. プロテクターに関する変更 (2.11.5)

  • 2024年版では、胸部と背中のプロテクターの使用が義務付けられていました。
  • 2025年版では、胸部と背中のプロテクターに加えて、エアバッグシステムの使用が強く推奨されています。

14. エアバッグの義務化 (2.11.5)

  • 2025年版では、2026年からすべてのクラス(Formula EWC、SUPERSTOCK、PRODUCTION、EXPERIMENTAL)でエアバッグ(カテゴリー1または2)の使用が義務化されることが明記されました。

15. その他の変更点

  • 2025年版では、FIMワールドトロフィーの追加に伴い、関連する記述が多数追加されました。
  • 2025年版では、サステナビリティに関する記述が追加されました。
  • 2025年版では、国際陪審の構成メンバーに関する記述が変更されました。
    • 2024年版では、国際陪審は以下のメンバーで構成されていました。
      • FIMが任命した陪審長
      • FIMが任命した2名と3名目の陪審員
      • FIMレースディレクター
      • FIMセーフティオフィサー
      • FIMメディカルディレクター
      • WBDSが任命した代表者
      • コースクラーク
      • FIMチーフメディカルオフィサー
      • FIMテクニカルディレクター
    • 2025年版では、上記に加えて4人目の陪審員が出席する場合があると変更されました。
  • 2025年版では、FIM EWCスチュワードパネルの構成メンバーに関する記述が変更されました。
    • 2024年版では、FIM EWCスチュワードパネルは、FIM EWCスチュワードスーパーライセンスを保持する3名で構成されていました。
    • 2025年版では、上記に加えて4人目のFIMスチュワードが出席する場合があると変更されました。
  • 2025年版では、レース中のライダーの行動に関する規定が変更されました。
    • 2024年版では、ライダーはサーキットまたはピットレーンで、サーキットの進行方向とは逆方向にバイクに乗ったり押したりしてはならないとされていました。
    • 2025年版では、
      • オフィシャルまたはレースディレクションの指示がある場合
      • ライダーが危険を回避するため短距離を移動する場合
      • 補足規則に明記され、ブリーフィングで説明されている場合
        上記に該当する場合は、逆方向にバイクに乗ったり押したりすることが認められると変更されました。
  • 2025年版では、移動中のマシンとライダーのチーム間の通信に関する規定が変更されました。
    • 2024年版では、以下の方法以外の通信は禁止されていました。
      • 計時トランスポンダ
      • ラップトリガー
      • GPS
      • ピットボード
      • ライダーまたはチームの体の動きによる信号
    • 2025年版では、上記に加えて、
      • 主催者および公式計時会社が供給するGPSユニットの使用が認められる
        ただし、GPSまたは同様のシステムをマシンのどの部分にも接続することはできません。
  • 2025年版では、ピットレーン出口でのライン規定が変更されました。
    • 2024年版では、ライダーはピットレーン出口道路の定義されたラインの内側にとどまる必要がありました。
    • 2025年版では、ライダーは
      • 破線を通過するまでラインの内側にとどまる必要がある
      • 違反した場合はFIM EWCスチュワードパネルによってペナルティが科される可能性がある
        というように規定が変更されました。